白浜一良

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21世紀の課題について語り合う 3/3

コンテンツが問われる時代

白浜
私、文化庁の役人に言ったんですよ。「実際の担い手が何で悩んでいるか。そこを聞いてあげんと、文化は絶対育たないよ」と。 初当選して闇もないころ、伝統芸能・文楽の問題を調べ、国会で取り上げたことがあるんです。驚いたことに、30代、40代の中堅の技芸員さんでも月給が20万円程度。国の立場から言ったら、劇場つくって補助金出しているからええやないかとなりますが、実際、生活が苦しい中で、文化価値を守っている人がいるから続いているんですね。そういう人を無くしてしまったら、価値は守れないのです。今、技芸員の待遇は改善されつつあります。政治は相対化されていい。しかし、文化というのは普遍(ふへん)的な価値観です。だからこそ、私も深く関わってきました。
難波
素晴らしいことです。数年前に米国全土の美術館・博物館を見て回る仕事がありまましてね。感心したのは、メトロポリタンやボストンも週1回、入場璃料の日があることです。関係者に聞くと、「国民の共有財産ですし、お金がなくても観(み)たい人がいますから。お金のある人は、普通の日に来ればいいんです」と。日本では、小学生以下が無料とか、月1回だけ無料の博物館もありますが、過1回も無料にしたら、ただの日ばっかりに来るに違いありません(笑い)。
また驚くことに、写真環影もOKでした。許可を受ければ、絵のスケッチもできました。日本だったら「いたずらされたら誰が責任を取るのか」という議論になるでしょう。 米国は人間を信頼する「成熟した社会」という点で、悔(くや)しいけど、日本との民度の差を痛感しました。
白浜
ところで難波さんは、大坂市のクラフトパークの館長も務めているとうかがいましたが。
難波
ええ。大阪クラフトパークは木工、染色、陶芸、ガラス工芸など10の工房から成(な)っていて、関西各地から受講生が来ています。物を作るのは見ているだけでも大変面白いものです。私、学校教育で一番欠けているのは、子どもたちに物を作る楽しさを教えていないことだと思うんです。子どもたちにとって自分で汗を流して作ったものは何よりの宝物として大切にするでしょう。物を作らせると言うことは、物を大切にする心を育てる。それがひいては生き物はなおさらということになって、人間は、もっと大事にしようということにつながっていくのではないでしょうか。
白浜
なるほど。私は21世紀を迎え、取り組むべきテーマを3点挙げています。1点目は自然との共生、2点目は自助・公助・共助のバランスのとれた社会の構築、3点目は国際協調です。
難波
「自然との共生」という理念が21世紀、改めて見直されるべきとの指摘は同感です。20世紀は、ある種の人類の傲慢(ごうまん)さが全面に出ていたように思います。人類は科学文明の恩恵は受けていますが、その一方で、得がたい財産を失ってきています。
もう一つ挙げるとすれば、「文化の充実」です。私の文化の定義は単純明快で、「すべての命を大事にしましょう。そして生きる喜びを皆で分け合いましょう」というものです。そのような文化意識を充実させる方向にもっていかなければ前世紀の弊害を埋(う)めることはできないかと。白浜さんらに柁(かじ)取りをしてもらい、文化と経済がバランスよく発展する世紀になってほしいのです。
白浜
それが政治の役割と思います。ありがとうございました。