白浜一良

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21世紀の課題について語り合う 2/3

コンテンツが問われる時代

白浜
日本人はハードは得意ですが、コンテンツ(中身)がないんですね。国際的な時代になればなるはど、それが問われるわけですが、残念ながら日本とは何か、大阪とは何かについて表現した形の街は残っていない。みんな中央集権型の一律主義なんです。文化ホールを建てるとなれば、全国どこでも建てるとか。発展期はいいのでしょうが、そういう一律主義は、固有の地域性を生かしていく「市民社会の成熟期」では、弊害(へいがい)となります。
難波
その通りでしょうね。徳川時代、幕藩体制に縛(しば)られていた江戸では3人に1人くらい侍がいました。対する大阪は、元禄時代の統計で人口34万人中わずか1000人程度。怖いのがおらないということで、大阪の方が非常に自由で楽しい町だったと思います。大阪で一番威張っていたのが、当時の身分制度で最下層の商人や町人。その自由さが、大阪の今につながる文化の根っこになったと思うんです。また、この自由さに育(はぐく)まれた上方(かみがた)文化は日本の文化の中心だった。ところが時代が進むにつれ、経済中心になり、上方文化は大きく後退してしまった。経済と文化は表裏一体にもかかわらず、経済あっての文化という考えはあっても、文化あっての経済という考えは薄いです。
白浜
大阪に余裕がなくなったんでしょうね。文化が産業になるようでしたら、文化がいわば″自己回転″して、人も集まるし、発展していくでしょうけれど。
難波
堺出身で村上浪六(1865-1944年)という小説家がおったんです。彼がある著作で、商売させたら大阪人に勝るものはないと言っています。どうして商売がうまいのかというと、大坂人は例えば、せったの裏に小判を貼り付けて歩く人がおったり、白砂糖を3尺積み上げて土俵を造り芸者に相撲をとらせたり、はちゃめちゃにやる。そうした特性が商売には大事というわけです。また大阪人は1両、2両という大金を平気で、でっちに集金に行かせるが、東京の商売人は自分で行ってしまう。東京のあるじは気が小さい。大阪人は気が大きくて商売に目が効(き)くということを指摘しています。
白浜
そのぐらいの発想をしないと、新しい商売は興(おこ)せませんし、文化を育てこともできませんね。実は、お金に関していえば、文化庁の関連予算は100億円ほど増えたんです。それはいいことなんですが、それだけで文化が育つわけはない。文化行政を文化庁に任(まか)せるのではなく、政府を挙げてやるべきです。総理のもとで文化全体を押し上げていくような機関をつくるべきだし、民間企業や個人が文化事業に投資した場合、減税措置をすることも、ひとつの施策だと思います。
難波
私は文化庁主催の秋の芸術祭の審査員に加わっているんですが、賞を与えることもいいこですが、それだけで、文化に協力しているという意識は、いけないと思うんです。実際どうなのかが大切です。