2002年12月10日
155-参-内閣委員会-10号 2002年12月05日
平成十四年十二月五日(木曜日)
午前九時三十分開会
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委員の異動
十二月三日
辞任 補欠選任
羽田雄一郎君 松井 孝治君
十二月四日
辞任 補欠選任
神本美恵子君 川橋 幸子君
小池 晃君 筆坂 秀世君
十二月五日
辞任 補欠選任
川橋 幸子君 鈴木 寛君
筆坂 秀世君 畑野 君枝君
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出席者は左のとおり。
委員長 小川 敏夫君
理 事
阿部 正俊君
亀井 郁夫君
森下 博之君
長谷川 清君
吉川 春子君
委 員
阿南 一成君
竹山 裕君
西銘順志郎君
野沢 太三君
山崎 正昭君
岡崎トミ子君
鈴木 寛君
松井 孝治君
白浜 一良君
山口那津男君
畑野 君枝君
島袋 宗康君
黒岩 宇洋君
国務大臣
国務大臣 鴻池 祥肇君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 木村 隆秀君
文部科学大臣政
務官 池坊 保子君
厚生労働大臣政
務官 渡辺 具能君
事務局側
常任委員会専門
員 鴫谷 潤君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 中城 吉郎君
内閣府大臣官房
審議官 山本信一郎君
内閣府政策統括
官 坂 篤郎君
総務大臣官房総
括審議官 板倉 敏和君
文部科学省初等
中等教育局長 矢野 重典君
文部科学省高等
教育局私学部長 玉井日出夫君
厚生労働省雇用
均等・児童家庭
局長 岩田喜美枝君
国土交通省海事
局次長 金子賢太郎君
国土交通省港湾
局長 金澤 寛君
参考人
社団法人日本経
済研究センター
理事長 八代 尚宏君
医療法人財団河
北総合病院理事
長 河北 博文君
法政大学経営学
部教授 角瀬 保雄君
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本日の会議に付した案件
○構造改革特別区域法案(内閣提出、衆議院送付
)
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、羽田雄一郎君、神本美恵子さん及び小池晃君が委員を辞任され、その補欠として松井孝治君、川橋幸子さん及び筆坂秀世君が選任されました。
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○委員長(小川敏夫君) 構造改革特別区域法案を議題とし、参考人の方々から意見を聴取いたします。
参考人を御紹介いたします。
社団法人日本経済研究センター理事長八代尚宏君、医療法人財団河北総合病院理事長河北博文君及び法政大学経営学部教授角瀬保雄君、以上三名の方々でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところを当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
本法案につきまして、皆様から忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、参考人の皆様から、八代参考人、河北参考人、角瀬参考人の順に、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず八代参考人からお願いいたします。八代参考人。
○参考人(八代尚宏君) 八代でございます。
本日は、構造改革特区法案の意義と規制改革への効果ということについてお話しさせていただきたいと思います。
まず、お手元に資料を用意してございますので、これに沿ってお話しさせていただきたいと思います。一枚めくっていただきまして、こういう特区というものはなぜ必要かということから御説明させていただきたいと思います。
御承知のように、九〇年代以降の日本の経済社会というのは長期停滞でございまして、これは今の一番大きな問題になっております。様々な原因があると言われておりますが、一つはやはり、グローバル化する世界経済、特に九〇年からの旧社会主義国の市場経済化等とか東アジアの国の台頭、そういう中で世界がますます一つの市場経済化している、そういう中で日本の対応というものがこれまで十分なされてこなかったのではないかというのが一つだろうと思います。
それから、やはり急速に進む少子高齢化の進展の中で、日本のように極めて年齢に依存した社会制度を持っている国というものはそれだけ大きなインパクトを持つのではないかということであります。こういうグローバリゼーションに対応した製造業というのはどんどん海外に出ていってしまって、残されたサービス部門、ここで雇用を吸収しなければいけないんですが、その部分が依然として規制万能の制度の下に置かれている。これを、国際化する経済体制の下で日本についてもセーフティーネットをきちっとするということを前提に市場競争をできるだけ導入する、そのために構造改革、規制改革というものが必要であるというのが私の認識でございます。
そういう規制改革というのは、ともすれば単に規制を緩和するだけだという見方もございますが、必ずしもそうではなくて、規制を阻害する制度を極力撤廃しあるいは緩和する、同時に規制を促進するような制度を強化するという形で、ともかくも事業者間、企業間の競争をできるだけ活発化することによって消費者、利用者の利益を守るというのが一つの考え方でございます。これは同時に、過去の経済社会に見合って作られた制度を新しい社会の中に見合うように効率的な制度へと改革する、制度改革という視点もございます。それから、小泉総理がいつも言っておられますように、官から民へ、民のできることは民へということ、あるいは国から地方へ、地方ができることは地方にゆだねて国はもっと国際化対応を進めなければいけないと、そういう制度改革の考え方とも整合的でございます。
そういう規制改革の必要性ということは多くの方は賛成していただいているわけなんですが、問題は、それがなかなか進まないということであります。非常に、二歩前進一歩後退という形で、せっかく規制緩和ができても、それを妨げるような詳細な別の規制というものが同時に生まれることによって、なかなか急速に変わる国際化の波に、スピードに付いていくことができないわけであります。国際化というのは、必ずしも欧米だけではなくて、韓国、中国を始めとする日本の近隣のアジア諸国は日本以上のスピードで急速に改革を進めているわけですが、日本だけがいつまでも慎重に慎重にということで緩やかな改革しかできないわけであります。
なぜそういう緩やかな改革しかできないかというと、やはり全国一律に制度を変えるためには様々なリスクを考慮しなければいけない。神学論争が繰り返されてなかなか大胆な改革ができないわけであります。そういうボトルネックを克服するための一つの方法がこの特区でありまして、全国一律ではなくて特定の地域に限って新しい制度を試みてみる、それによって制度の効果を確かめた上、全国に適用するという、そういう一つの社会的実験であります。
こういう社会的実験というのはこれまでも国のモデル事業という形で行われていたわけでありますが、それはあくまでも国主導でやる、あるいは特定の後れた地域を発展させるための政策として行われていたわけなんですが、そうではなくて、この特区の考え方というのは、地域の主体性に基づいて、国の押し付けではなくて地方が正に自分たちがこういう改革をすることで地域を活性化したいという意図をくみ上げるという形で行うということ、それから必ずしも後れた地域だけではなくて、むしろ地域間競争という形で進めていくということが大事ではないかということであります。
これは、中国が沿岸地域について特区というものを作って、それが見事に成功し現在の中国の繁栄に至っているわけでございますが、必ずしもそういう中国型の特区ではなくて、私が思いますには、むしろ米国型でやる。米国というのは五十の特区が常に存在するわけで、五十の州がそれぞれ独自の制度を持っていていろんな新しいことを試す、それによって良い制度はほかの州によってまねをされ悪い制度は廃れるという形で絶え間のない制度間競争が行われている、これがやはり米国の経済社会が非常に活性化していることの一つの原因ではないかと思います。残念ながら連邦制ではない日本では米国のようなことはできませんが、せめてその一つの、一部でも取り入れるということがこの特区の最大の意味ではないかと思います。
かつてのようにキャッチアップ時代であれば外国のまねさえしていればよかったわけでありますが、もうこれだけ大きくなった日本経済は自ら試行錯誤を通じてより良い制度を求めていかなければいけない、そのためにも、やはり特区というのは非常に有力な一つの手段ではないかと思います。
一枚めくっていただきまして、「通則法としての特区法案」というのがございますが、こういう特区のアイデアが最初に総合規制改革会議あるいは経済財政諮問会議で出てきたときに、各省がそういう特区を作るのは結構だけれども、当然その場合は各省の法律を改正してやらなければいけないということなんですが、それではやはり同じような問題が起こる、このために内閣府で一括して通則法を作り、それに基づいて各省の法律を横断的に改革するというようなアイデアが出たわけであります。当初このアイデアが出たときは、極めて非常識な考え方であるというふうに非難されたわけですが、結果的に閣議決定に至って、今日こういう参議院の場で審議していただくような状況になったということは非常に大事なことではないかと思います。
こういう特区法案の考え方というのは、あくまでも地方自治体の自発的な立案ということに基づいて、できる限り幅広い内容を対象とするということが基本だと思います。それから、決して法律だけではなくて、規制は細部に宿ると言われますように、法律自体よりも、むしろ各省の政令であるとか通達というものが競争を妨げている面も多い。そういう意味では、省令、通達にかかわらず、細かい点にも含めて、行政指導的なものも含めて改正するというのが一つのポイントであります。
それから、しばしば言われることとして、特区は結構だけれども、例えば生命、身体にかかわるような規制というのは外すべきであると。特定の地域の住民を言わば実験台にするようなことは許されないという考え方がございます。
ただ、こういう考え方の前提というのは、あくまでも現状が最適であるという強い前提に基づいているわけでありまして、その場合は当然ながら実験する必要もないわけでありますが、そうではなくて、やはり今の社会的規制、医療、教育、農業、あらゆる分野について多くの問題点があるということであれば、より良い医療制度、福祉制度を考えるために何らかのやはり実験というものが必要ではないかということであります。
医療の世界は、後でまた河北先生がお話しになると思いますが、私はむしろ特区に向いている分野ではないかと思います。それは、結局、医療自体が絶え間のない実験の中でこれまで医療技術の進歩、新薬の開発をしてきた分野であるわけであります。例えば、新しい薬を承認するときには、当然ながら有益性と有害性のジレンマというのがございます。新薬を作れば副作用という弊害が起こる可能性がある、しかし同時に、それを恐れていて一切新薬を作れなければ、それで救えたかもしれない患者の命が失われるという正にジレンマがあるわけであります。そうした中で、治験という手段を通じて、管理された病院あるいは製薬会社の中で実験を繰り返すことによって新しい薬を作っていくわけでありますが、この考え方は正に医療制度にも適用できるのではないだろうか。医療制度についても様々の提案がありますが、それに対する懸念もあるわけでありまして、それは結局、何らかの十分な安全措置、代替措置という言い方を取りますが、その下で実験するより仕方ないんではなかろうか。古い制度が良い制度という今までの社会的規制の考え方というのは、急速に変化する世の中では、ある意味で国民生活の多様性あるいは質の向上を妨げる一番大きな要因ではないかと思われます。
それから、特定の地域を限った特区であったとしても、そこに全国から言わば利用者が来る可能性があるわけですから、それは全国ベースの改革と変わらないんじゃないかというお考えもあるかと聞いておりますが、それは逆に言えば、そういう決してクローズの特区ではなくて、全国どなたでも利用できるよというような特区を作ることによって、正に地域間競争が起こるわけであります。現在は、例えば日本では認められていないような医療システム、新薬とか手術法を受けるためには、例えば米国とかヨーロッパに行かなければいけない。そうではなくて、同じ日本の中でも、例えば米国並みの技術を持ったような病院があれば、これは国民にとって非常に大きなプラスではなかろうか。そういう意味で、正にその地域の人以外を排除するような特区というのは本来の特区の意味をなしていないのではないかということでございます。
あとはちょっと特区法の具体的内容で、これは皆さんもとっくにもう御承知のことですから省きますが、五ページ目の特区法の具体的成果の例示としましては、規制改革会議等で各省と協議した結果、幾つかの新しいアイデアが認めていただいたわけであります。
教育関係では、御承知のように、長年の課題でありました教育カリキュラムの多様化とか、大学設置の校地面積基準の緩和とか、あるいは農業でいいますと株式会社の参入が、賃貸方式という制約はございますが認めていただいた。それによって、例えば耕作放棄地がどんどん増えているような地域において、新しい血を導入することによって農村の活性化を図るような手段が生まれたわけであります。福祉関連でも、長年の課題となっておりました施設介護の分野において株式会社が公設民営方式という形で特養を運営することが特区では認められたということであります。
医療関係での特区というのは認められなかったわけですが、実質的に、例えば高度先進医療病院の適用基準の弾力化という特区要望というのは、全国対応という形で認めていただいたわけであります。必ずしも特区でなければいけないということはないわけでありまして、正に特区を飛び越して一挙に全国対応の規制改革を進める一つの契機になったというのもこの特区法案の一つの成果ではないかと思います。
株式会社の問題は後でまた御質問があればお答えするということで、今回は特区法案の審議でございますので、全部飛ばしまして、最後に九ページのレジュメを見ていただきたいと思います。
それは、今後、内閣府と総合規制改革会議との連携ということでありまして、これは基本プログラムにも明記されております。
それから、現に今回の法案を作成するに当たって、具体的な特例措置の内容とか規制改革の在り方について各省と規制改革会議と特区推進室が協力で意見交換をし、かつその意見交換の内容は完全に外部に公開する、傍聴も可能ですし議事録も完全に公開する、そういう中で、国民環視の中でその規制改革の議論が行われたというのは非常に大きな成果ではないかと思います。
最後に、一つだけ問題点がございまして、これは特例措置の評価ということでありますが、これが実は非常に大きな重要性を持っているわけでございます。
やはりこの特区というのの最大の目的というのは、地域を限って行う実験というもの、新しい試みというものが最終的には全国ベースで広がるということを意図しているわけでありますが、そのときはやはりこの評価というものが極めて重要でありますが、だれがこの評価をするのかと。関係各省だけではなくて、やはり第三者、民間のシンクタンクあるいは内閣府、いろんなところで評価することによってそれが速やかに全国ベースの規制改革につながる、そういうことが極めて重要であって、これをいかに担保していくかというのが今後の特区法案の大きな課題ではないかと思います。
以上でございます。
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
次に、河北参考人にお願いいたします。河北参考人。
○参考人(河北博文君) おはようございます。
私が本日使います資料が二枚ございます。一つはこの色の付いた資料でございまして、これは私が本日のために用意をいたしました。それから、今日朝持ってまいりましたのは、これは日経新聞、三日の日経新聞夕刊だと思いますけれども、こういう意見が載っていたのでお持ちをいたしました。これは後ほど御説明をしたいと思います。
初めに、私がこちらの方にお呼びいただいて参考人としてお話をさせていただく理由を御説明したいと思うんですけれども、私が所属をしております医療法人財団河北総合病院というのは財団でございます。社団ではございません。医療法人には医療法上二つの種類がございまして、財団と社団がございますけれども、持ち分のないという意味で私は非営利に属するのではないかというふうに常々思っております。ですから私は非営利でございますけれども、例えば医療に関しましては規制改革の中で株式会社の参入を、排除する理由がないということで認めている立場でございます。
それから、私自身は病院の医療法人財団の最終責任者であると同時に、約二十年間医療政策にかかわってまいりました。その以前から、武見太郎元日本医師会長に私のアメリカに留学をしたときの推薦状を書いていただきましたし、それから、帰ってまいりまして、村瀬敏郎先生、日本医師会長をされた方ですけれども、非常にかわいがっていただきました。それから、日本病院会の副会長を六年いたしましたときに諸橋芳夫先生という方にもかわいがっていただき、その間に、特に厚生省では寺松元健康政策局長と一緒に、医療の評価、第三者評価をいかに日本に導入するか、それから医療の資本的な費用としての病院の建て直しの資金等を考えて、施設近代化施設整備事業というものを、一九四六年に作られましたアメリカのヒル・バートン法というものになぞって作ってきたことがございます。
今、私が医療の中にいて非常に大きな矛盾を感ずるということを特に今日はお話をしたいというふうに思います。ですから、私は思い付きで今日お話をすることではなくて、約二十年間のいろいろなことを通じて先生方に御理解をいただきたいというふうに思っております。
もう一つ、私は医師でございます。医師がよく、発言をするときにプロフェッショナルフリーダムという言葉を使いますけれども、私はプロフェッショナルフリーダムの前に、プロフェッショナルコミットメントという言葉を常に説明をするようにいたしております。コミットメントというものは、自分の命に懸けて使命を遂行することを神に誓うということであって、よく、プロフェッショナルスクールというのは三種類しかないと。これは法学、神学、医学。神学、法学、医学でしょうか、この三つに共通することは、人の命の判断を神にゆだねられるという立場でございます。ですから、コミットメントして、自分の命を懸けて使命を遂行することを医師は神に誓っているということを私は常々考えております。
ですから、そういう意味で、やはり日本の医療を良くしたい、社会が許容する範囲の中で、日本の医療を、最善の医療を作りたいということからいろいろな活動をしてきているわけでございます。
それで、患者さん個人にとって医療の質というものは必要な医療が適切に得られること、何が必要であるのか、必要な医療というのはどういうものであるのか。適切にというその方法論でありますけれども、きちっと説明がなされているのか、あるいは社会が許容する範囲のことをすべてそこに網羅されているのかどうか。得るということは、与えられるということではなくて、患者さんが参加をして自分で選択をするということであるということが基本であります。
そこで、私の今日の主題は「選択の自由」ということを持ってまいりました。
規制改革委員会等で私も市場競争原理という言葉を何回も聞かされましたけれども、医療の中で余り競争原理という言葉はふさわしくないのではないか。ですから、選択の原理とか、あるいは選択の自由という言葉の方がふさわしいというふうに思って選択の自由という言葉を使っております。今、日本の社会というのは非常に経済を含めて閉塞感がある。閉塞感を打破するというのは、やはりこの選択を自分でできるということが大切なのではないかというふうに思います。
少し生意気なようでございますが、この資料の右の上の方に「社会システムはバランスである」、絶対正しいということはございません。ですから、常に社会を見ながら、右なのか左なのか、どこにその調整をしていくかというバランスを大切にしなければいけないんだろうというふうに思っております。その中で、バランスを考えたときに、ある一点だけ考えるということではなくて、総合的な視野を持つということは極めて大切でございます。
それから、フェアとリーズナブルとシンプルというのは私の政策の三つの基本でございますけれども、フェアというのは公平ではありません。公正であるということであります。公平というのは、すべて一律に同じであるはずだという、違いを認めない言葉であります。公正ということは、違いを前提にして、それを正しく評価をして、その評価の結果に対して適切に対応するという言葉が公正という言葉でございます。これがフェアであります。リーズナブルというのは、合理的という言葉よりは理にかなっている、多くの人たちが納得できるということなんだろうと思います。全員一致ではございません。それから、シンプルというのは、分かりやすいということであります。
パブリック・プライベート・パートナーシップというのは、公と私、官と民という言葉の違いを先生方御存じでいらっしゃると思いますけれども、民間であっても公の仕事をしなければいけないということがございます。
それから、ネガティブリストの社会というのはどういうことかといいますと、ポジティブリストの社会ではないと。ポジティブリストの社会というのは、やっていいことをいわゆる行政あるいは政治の判断にゆだねて、やっていいことを増やしていく、リストを増やしていくという社会であって、それ以外は原則禁止という社会であります。ネガティブリストの社会というのは、やっていけないことを最小限にリストの中にとどめて、あとは自己責任で原則自由にするという社会であります。そういう社会にしなければいけないというふうに思っていて、これが私の社会に対する基本的な考え方であります。
その次に、医療でございますけれども、この円をごらんいただきたいんですが、「社会保険」という黄色い部分、この中に閉じ込められている。閉じ込められている中で、左側の「多くの矛盾・分配論」と書きました。
日本の医療には非常にたくさんの矛盾がございます。例えば医療費、これは全国一律の制度であって、コストは全く地域によって違う。それから、コストとエクスペンスの違い。日本の医療を、現在の医療を支えるためにもコストが三十五兆円ほど掛かっていますけれども、医療費として支払われているのは、三十兆円か三十一兆円ぐらいが医療費であります。その差額は何なのか。例えば、他会計からの繰入金、これは一兆数千億円毎年ございます。それから、表に出ない患者さんの御負担、そういうものを含めてコストをようやく支払の方でカバーしているというような形であって、コストとエクスペンスが一致していない。それからさらに、診療報酬体系というのは、医療の、あるいは診療の質を問わない体系になってしまっているということに問題があります。
それからさらに、開設主体というのは、これは株式会社の問題は後ほど触れたいと思いますけれども、開設主体は既に二十数種類あります。非常に多くの矛盾を抱えています。あるいは、医学あるいは医師の教育に関しての医局の問題、こういったものも考えなければいけないというふうに思っております。
それから、その黄色の中で、分配論をする、分配論というのは堺屋太一さんが昔おっしゃっていらっしゃいましたけれども、分配論というのは嫉妬の経済学しか生まないというようなことで、だれが幾ら持っていったかということであって、枠を拡大する議論をしなければいけないのではないかというふうに思います。
その周りにあるこの緑色の「医療・保健」と書きましたのは、これはいわゆる衛生法規に関して、社会保険に収載されていなくても医学的見地からこれは効果があるのではないかというふうに認められているものを含めての、この衛生法規の部分でありますけれども、この部分は私はやはり医療では外してはいけないことだろうというふうに思います。これを中からも何とかこの矛盾を解決し、分配論ではなくて枠を拡大したいという力はございます。私だけではございません。それから、外からは、新しいビジネスチャンスとしてそれをとらえている人たちは決して少なくはないというふうに思います。
この二つの力を考えてみて、この枠を拡大しなければいけない。拡大するためには点線のこの青い部分を膨らますということであって、現在日本の医療費、先ほどのコストの部分で考えれば三十数兆円あるわけでありますけれども、これはGDPの中でも既に第四番目ぐらいの大きさの産業として位置付けられるんではないかと思います。これからの日本のGDPあるいは経済を考えたときに、確実に拡大できる可能性を持つものの、これはもう私はその最たるものではないかというふうに思っております。
そこで、現在の日本の医療でありますけれども、これは左の上に書きました。「貧困からの救済」という、まだ一九四五年当時の基本理念が残っていて、先ほどの公平、すべて一律に同じであるはずだという公平と、量を拡大してきた医療でございました。これは同質性の社会というものを意味して、この中に、異質であるということを前提にした第三者機能評価を導入するというのは非常に時間が掛かります。約十五年掛かりました。
国民皆保険制度、これは将来的にも確保していかなければいけないことだと思います。フリーアクセス。フリーアクセスには大きな問題がございます。適正なアクセスを確保するということであって、どこに何回行っても構わないというものでは私はないというふうに思います。それから、自由標榜制。開業するときにどんな標榜科を選ぶかということは、自分が選ぶことができるということ、これにも多くの矛盾があると思います。それから出来高払にも矛盾があると思う。支払制度、幾つかの支払制度がございます。
そこで、それをどういうふうに見直すかということがその下でございますけれども、「制度見直しの目標」というのは、患者さんが選択できる制度にする、それから医療の質を向上させるような方向に持っていかなければいけない、医療の枠の拡大、それから提供者側も選択肢を持ちたいというような気持ちがございます。
右側に参りますけれども、「活力ある経済社会に向けて」。
今と同じような問題ありますけれども、選択原理それから質の向上とともに、産業、内需そのものであるということ、それから技術政策、いろいろなナノテクノロジーあるいはバイオその他を含めて、可能性はもう本当に無限にあるというふうに考えております。雇用政策、まだまだ数十万人あるいは百万人を超える雇用が、医療が拡大をする、これは無限に拡大をするということではなくて社会が許容する範囲で拡大をする、社会保険とその周辺の部分を含めてでありますけれども、ことが可能であるというふうに考えます。
それから、国際的視点。ここに「国際貢献」と書きましたけれども、国際的にその国に出掛けていってということではなくて、教育を含めて、いろいろな途上国の人たちの教育を日本で引き受けるということが国際貢献の私はもう基本であるというふうに思っております。
それから、保険制度、医療提供体制も、基本的には私は民営化をすべきであると。アメリカのメディケア、メディケードの支払が、公的保険の支払がもう既に五〇%を超えております。アメリカの医療費というのは、日本円に直すと現在でも百五十兆円ほどお金が掛かっていて、全世界の二分の一以上のお金をアメリカ一国で医療費として使っています。
それでも、その下でございますけれども、アメリカの医療を見たときに、まずアメリカの医療制度、勉強すべきことがたくさんあります。制度として、マネージドケアを含めて、我々が導入するかしないかは別にしましても、非常に参考になる制度がございます。それから、マネジメント。病院のマネジメント、医療政策のマネジメントというのははるかにアメリカの方が進んでおります。医療の評価、あるいは医学教育、それから医師、看護婦その他、看護師でございますか、専門職が直接日本に来ても十分な診療ができるということ。それから、物。薬でもそうですし、あるいはその医療材料、医療機器、そういったものもアメリカからの輸入がかなりたくさんあるというふうに考えておりまして、お金を掛けるということは、こういうものを貿易財として国際的に流通できると。
我が国は一体何があるでしょうか。我が国に以前、国民皆保険制度を勉強するために来た人たち、アジアからたくさん来られました。今は全くありません。我々が出掛けていって、アメリカに行き、オーストラリアに行き、韓国が今すばらしく変化をしています。そういうところに我々が出掛けていかなければいけないものになってしまったんですね。非常に私は残念だろうと思います。
今回、私は特区の申請をいたしました。千代田区丸の内の医療特区を出したんですけれども、それは、私どもは財団でございますけれども、資金調達の道が非常に限られている。我々の資金ではとてもこういう事業はできないというようなことで、資金調達の道として株式会社と組みたいということがあります。それから、価格の自由化。これは混合診療でありますけれども、価格を自由化しなければいけないということ。それから、資格の国際化。海外から、特にアメリカ、ヨーロッパの医師は、あるいは看護師は日本でも十分に仕事が果たせるというふうに考えている。これが競争なのか選択になるかということであります。
それから、こちらの方の資料でございますけれども、日本にいる外国人は日本の医療を選ばないと。非常に残念なことでございます。後ほどお目を通しいただければと思います。
以上でございます。
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
次に、角瀬参考人にお願いいたします。角瀬参考人。
○参考人(角瀬保雄君) 法政大学の角瀬と申します。
今回の構造改革特区法案に対する参考人意見の依頼がありましたのがちょうど一週間前のことで、時間的にもかなり押し詰まった時期でありました。早速、法案等、資料を送っていただき、目を通したところでありますが、限られた時間でもあり、法律の条文や個々の提案の内容を検討することは不可能でありました。そこで、構造改革特区構想の背景と本質に関する私なりの考えを取りまとめてお話しするのが最も適切と考えて参りました。
かつて、私は、規制緩和が大きな問題となり始めました一九九三年当時、衆議院の規制緩和に関する特別委員会に参考人として出席する機会があり、以来、規制緩和問題については著書等を通じて発言をしてまいりました。
当時は細川内閣の時代で、以来、内閣は次々と変わりましたが、政府の規制緩和促進の政策は一貫しております。当時の規制緩和という言葉はやがて規制改革に改められ、現在の小泉内閣の下では構造改革という言葉が用いられておりますが、そこに流れている思想は、国際的にはレーガン、サッチャーに代表された新自由主義思想で、市場原理万能主義とも言われているものであります。その世界的な背景としてはグローバリゼーションの流れがあり、地球全体を活動の場として行動する多国籍企業、多国籍金融機関の要求がありました。グローバリゼーションの結果、富める者と貧しい者への社会の二極分化と弱者の社会的排除が進みました。規制緩和とIT革命がもてはやされたアメリカの九〇年代の好景気も、エンロン、ワールドコム事件で証明されましたように、IT・株式バブルによるものでしかありませんでした。今日ではその崩壊が明らかとなっております。
我が国では、九〇年代のバブル崩壊後、経済不況が深刻化する中で、細川首相の私的諮問機関でありました経済改革研究会から平岩リポートが発表され、公的規制について、経済的規制は原則自由、社会的規制についても、経済的規制の機能を持つとして必要最小限に縮小するというスローガンが打ち出されました。こうした中で、景気回復のためには規制緩和という大合唱が繰り広げられたわけでありますが、私は規制緩和による競争の促進、効率化の追求は、弱肉強食によって大企業は栄えても、中小企業の整理淘汰と働く者の失業の増大をもたらさずにはおかず、景気回復に逆行するものであるという意見を申し上げました。
その後、約十年間の事態の推移は私の危惧が正しかったことを証明したものと考えております。その後も景気は一向に良くならないばかりか、リストラによって完全失業率は五・五%と高い水準で続いております。今後、小泉内閣の構造改革が進められていくならば、さらに中小企業の倒産や失業者が増大するであろうということは多くの識者の一致して見るところとなっております。
こうした中で、経済を活性化させることは必要欠くべからざるところでありますが、経済が閉塞状態にあるのは、規制があるということよりも、バブルに見られたような利潤第一主義と反社会的な企業の行動に問題があったと言えます。自ら反省することなしに、規制を緩和しさえすればという単純な発想はいただけません。
ここで誤解のないように申し添えておきますと、私は、今日の日本経済の再生にとって、ある意味での構造改革が必要なこと、また規制改革が必要であるという考え方を持っておりますが、その内容は政府が考えているところとは大きく異なっております。それは、あるべき日本の姿、日本の将来像をどう考えるかによって大きく変わってくるからであります。利潤の追求と効率優先の弱肉強食がまかり通る社会が望ましいのかどうか、そうではなく、弱者に優しい福祉社会、協同と共生の社会が望ましいのかによって大きく分かれてきます。私は後者の立場に立っております。
また、規制について言いますと、それはすべて維持すべきものとも考えておりません。国民の生活向上にとって必要でない、邪魔になる官僚的な規制はなくすべきであると思いますが、国民生活にとって必要欠くべからざる社会的規制は強化する必要があると考えております。したがって、規制一般が是か非かと言うことはできず、個別具体的に検討し、その必要性、問題点を検討すべきものと言えます。国の規制緩和政策に対し、地方自治体が住民の生活の立場から地方独自の規制を強化することも必要と考えております。
現在の小泉内閣は、これまでの歴代の内閣と同様に、構造改革なくして景気回復なしと叫び続けておりますが、景気は一向に良くならず、国民の将来の生活に対する不安は増大するばかりであります。それに対して、規制緩和政策が悪いのではなく、与党内のいわゆる抵抗勢力や官僚の反対があり思うように進んでいないことが見るべき効果の上がっていない原因だとして、その徹底化が図られようとしております。こうした中で、そのための手段、突破口として打ち出されてきたのが今回の構造改革特区構想であると思います。
構造改革特区構想は、これまでの、規制は全国一律の形でなければならないという考えから、地方の特性に応じた規制を認めるという考え方に転換を図ると言われるもので、まず地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、地域の特性に応じた規制の特例を導入する構造改革特区を設け、そこでの実験の成功を通して全国的な構造改革へと導き、我が国全体の経済の活性化を実現させようとするものと言われております。そのために、地方からの申請を基に内閣がそれを承認するという手法をもってするところに特徴が見られます。しかし、地域間の公平性が崩れたり、適用を受ける地域、人の間での平等性の確保などが問題点として指摘されてもおります。
第一次緩和要望として示されたものは九百三項目に上り、そのうち特区として認められたのは約一割の九十三項目とされておりますが、その内容は様々であります。さらに、総合規制改革会議の第二次答申で検討されるものから、平成十五年の一月十五日を期限とする新たな提案の受付も予定されており、その全体像は必ずしも明確になってはおりません。
大きな問題となりました農業、医療、教育への株式会社の参入について見ますと、医療、教育については見送られたとのことでありますが、総合規制改革会議の第二次答申では、教育研究分野への株式会社の参入が目玉として再度浮上してくるものとの報道もあります。
個別の事例として挙げられているものについて見ますと、国際交流から産業競争力の強化、新産業の創出、技術開発、産学官連携から町おこしに至るまで様々なものが見られ、その中には煩雑なお役所式の形式主義の簡略化、廃止など国民の要求にこたえるものも見られますが、公共的な分野への株式会社の参入解禁など、規制緩和によるビジネスチャンスを追い求める大企業の要求にこたえるものについては問題と言えます。そうした点からも、総合規制改革会議の中間取りまとめに見られる、生命・身体・健康、公序良俗、消費者保護等に関する規制であるという理由によって対象外とすべきではないという発想には大きな問題があります。生存権よりも経済効率を優先させようという発想が見られるからです。
今大きな問題となっているところについて見ますと、まず農業ですが、食糧自給率の低下はとどまるところを知らず、憂うべき状況にあることは広く知られております。さらに、最近では、食の安全性が大きく脅かされてきております。こうした中、国内農業の振興が求められておりますが、政府は米の生産調整から手を引こうとしております。こうした中での株式会社の農業参入と農業を市場原理にゆだねることは、農業保護に取り組んでいる欧米諸国の動向にも逆行するもので、日本農業の再生に資するものとは思われません。
さらに、国民の命と健康にかかわる医療について見ますと、医療改革によって国民の負担は増大するばかりで、受診抑制が広がってきております。病気になっても医者に掛かれない深刻な状況も生まれております。また、医療機関に対する診療報酬の引下げは病院経営を直撃しておりますが、こうした中、医療分野への株式会社の参入と先端的治療に関する混合診療の容認など、私費診療の拡大が進められようとしております。しかし、そうした医療の公共性を顧みない市場化、営利化では、金持ちにはいいかもしれませんが、公的医療に頼るしかない低所得者にとっては命を守る医療の機会が失われることになります。非営利の無差別平等の医療制度が守られなければならないゆえんです。
高齢者の介護の問題についても、介護保険の導入は二面的な影響をもたらしています。高額所得者にとってはこれまでよりも負担が軽減する良い制度であるとしても、低所得者にとっては選択の自由はなく、サービスの抑制をしなければ負担し切れないものとなっております。ここでも株式会社の参入は様々な問題を引き起こしております。
また、地域の公共施設についても、公設民営方式やPFI方式により株式会社が施設運営を行うことを認める特区や、図書館、体育館、学校などの第三セクター以外の民間企業へのアウトソーシングを解禁するなど、株式会社の参入を認め、営利企業の利益追求にゆだねることには問題があります。
また、教育について見ますと、教育の高度化、多様化推進の名の下に競争が奨励され、教育の機会均等が破壊されたり、株式会社の学校経営への参入など、教育が営利企業の利益追求の対象とされることには問題があります。これまでの官僚的規制にも様々な問題がありましたが、公的責任が放棄され、市場原理による規制へゆだねられることには別の問題が伴います。適切な計画と規制が必要と思われます。
最後に、労働の規制緩和について触れますと、労働者派遣関係の緩和などによる労働力の流動化が更に進められようとしております。これは、リストラの受皿作りとして人件費の切下げによる企業の競争力の強化には役立っても、働く者の賃金水準の引下げに拍車を掛けるもので、景気回復の足を引っ張るものと言えます。また、特区内に派遣労働者と非正規雇用の労働者ばかりという労働法制の規制緩和特区になるようなことにでもなれば、人権保護の見地からいっても問題となります。また、障害者雇用の促進などは規制の強化が必要になっています。
以上、見てきましたように、構造改革特区の構想は、個々の提案の中には評価されるべきものが含まれ得るとしても、その背景と本質に立ち返ってみるとき、全体としては規制緩和の持つ否定的な影響を拡大するものであり、受け入れることができないというのが私の意見であります。
以上で終わります。
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
<中略>
○白浜一良君 公明党の白浜と申します。
今日は、お忙しいところ国会に足を運んでいただきまして、貴重な御意見いただきましてありがとうございました。短時間でございますので、早速お伺いしたいと思いますが、八代先生にお伺いしたいわけでございます。
日本は規制社会でございまして、改革せにゃいかぬというのは正しい流れなんで、全体的にはできないんで特区方式でということで、そういう面ではこれは一定の評価できるわけでございますが、しかし問題は二つございまして、この法案の趣旨に書いてございますように、今回は地方自治体からの自発的な立案に基づく制度と、こういうふうになってございますね。ところが、実際提案された件数は四百二十六件ということで、量的にも、また個々の内容から見てもまだまだいかがなものかなと、こういう点が一つございますね。もう一つは、実際に認可になった件数が極めて省庁の壁が厚いから少ないと、この二つの大きな問題があるわけですね。
それで、お伺いしたいんですが、あくまでも地方からの立案と、こういうことになっていますので、そういう面でいうと、地方自治体の能力、これが問われるわけでございますが、このレベルに関しましては先生はどのように認識をされておりますか。
○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。
まず、四百二十六件、具体的に事項では九百三事項でございますが、これの数については、私はごく短期間の中ではよくこれだけ出していただいたというふうに思っております。特に、わずか八月一か月だけのもので、しかも突然こういう法案が、構想ができたわけでありますから、それに対して、言わば積極的に対応していただいた自治体がこれだけの数であって、私も非公式に伺いますけれども、もう少し時間があれば是非出したかったという方もたくさんおられるわけで、それが次の一月十五日に来るものと期待しております。
それから、自治体の提案ということになっておりますが、これはあくまでも形式でありまして、何も自治体がすべて考える必要はないんで、その自治体、その地域に住んでおられる住民の方あるいは企業の方がアイデアを例えば持ってきて自治体と協力して提案すると。そういう意味では、自治体固有の能力ではなくて、むしろ自治体というのは一種のモデレーターの役割を果たすわけでありまして、大事なのはできるだけ透明性を確保して、その地域の人たちあるいは別に地域でなくてもいいわけで、今後その地域に来る住民の方、企業の方のアイデアをうまく特区を使って全国レベルに提案していただくということでありますから、大事なのは構想力だけじゃなくて、そういうマネジメント能力、それから何といっても自発的な積極的なイニシアチブというのが大事だと思います。
先ほども少し申し上げましたが、やはりこれまでの自治体というのはどっちかというと国に陳情する、お金を陳情するというパターンでありましたけれども、これからはやはりアイデアを売り込むという形の方に変わらなければいけないかと思います。
それから、今、医療関係だけの議論でありますが、特にそれは教育でも重要でありまして、教育は医療と並んで規制にがんじがらめにされている点でありますが、多くの自治体の方が、やっぱりこれでは自分たちの子供の教育がどうしようもないと、もっと自由な学校を作りたいという要望が非常に大きいわけで、こういう面からもどんどんこれはNPO、住民の方々からのアイデアが地方自治体を通じて特区という形で、特区提案という形で国に流れてくるということを期待しております。
○白浜一良君 今お話しされましたですけれども、今回も、民間のアイデアを自治体が吸収して、それを出せばいいので、それは当然そうなんですが、そういう意味で時期的な問題もあるかも分かりませんが、今回は実際民間からのアイデアというか提案は少ないですね。これは、要するに今何が問題になって、どのようにすればこの辺が今後とも活性化してくるでしょうか。
○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。
おっしゃるとおりで、今後どうすべきかというのは我々も本当に考えているわけでございますが、やはり周知徹底の時間が足らなかった、そういう意味では、今回こういう国会で審議されて新聞あるいはマスコミ等にも大きく取り上げられているわけで、今アイデアを練っていただいている方も多いと思います。
それから、我々の方でも、ただ待っているだけではなくて、例えばこういうアイデアがあるんじゃないかということも積極的に広報していくと、そういう形でそれをまた地域の実情に応じて修正していただく。ただ、我々が考えるアイデアというのはもう基本的にステレオタイプのものでありますから、それに加えて、地方独自の想像も付かなかったようないいアイデアというものが現に来ているわけですし、それが今後更に膨らむというふうに今期待しております。
○白浜一良君 もう一点、八代先生にお伺いします。
先ほども出ていましたが、評価の問題ですね。これは大変大事で、雇用が増えるとかいろんな見方というのがあると思うんですが、評価する場合どこの機関がやるかと。第三者機関とかいろいろおっしゃっていますが、そういうこともあるんですけれども、その評価のいわゆる基準というか、何かお考えがございましたら、お教えいただきたいと思います。
○参考人(八代尚宏君) これはまだ、私どもももちろん個人的に考えておりますし、規制改革会議でも今後最重点事項ということで考えなければいけませんが、やはり私は一つは雇用だと思いますね。やはり今一番問題になっているのは失業の問題でもありますし、やはり古い産業をいつまでも抱えておくことはできない、しかしそこで働いている人を新しい産業に移すためには新しい産業がどんどん発展しなきゃいけない、そのためには雇用拡大というのが一つの大きな基準になると思います。
ただ、それだけではなくて、直接雇用に結び付かなくても、先ほども河北先生もおっしゃいましたが、消費者の選択肢が拡大する、これまではお仕着せのメニューしかなかった、教育でも医療でもですね、それを多様な選択肢が広がるということ自体これは国民の満足度を高める大きな要因ではないかと思います。
ただ、満足度が高まれば自然と需要も増えますから、それがまた生産の拡大、雇用の拡大にも結び付くわけでありまして、そういう意味では一番分かりやすい手法は一つは雇用だと思いますが、ほかにもいろいろいいアイデアがあるかと思います。
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
次に、河北先生にお伺いしたいと思いますが。
私は、これは初めてこういう図示された基本的な理念と申しますか貴重な御意見を伺いまして、それで時間がないので十分に御意見をおっしゃる時間がなかったと思うんですが、この日本の、ここにも書いてございますが、国民皆保険制度、どこに問題がございますか。
○参考人(河北博文君) 国民皆保険制度は、私は将来にわたっても維持をするべきことであるというふうに思っております。
ただ、そこで問題は選択肢がないということなんだろうと思うんです。それから保険という仕組み、英語で言うとインシュアランスシステムでございますね。本当に保険なのか。というのは、保険というのはあるリスクを前提にして、それに対して統計・確率論で保険料を設定する、給付を考えるということで、それからどのように被保険者を選んでいくかというようなこと、それからリスクの軽減を図るというようなことが保険であるというふうに思っておりますけれども、社会保険の場合には多少違うわけであります。これは所得に関しての保険料率が違うということで、所得とリスクは相関をしないというふうに私は考えているんですけれども、ということは日本の社会保険に関しては、これはある種の目的税であるというふうに最近は考えるように至っております。
ですから、そこに選択というものをどのように導入するか。やはり基本的には、国民皆保険制度というのは国家が主宰する社会保険の中にきちっとしたセーフティーネットとしての広がりを持たなければいけないんですけれども、それに加えて上乗せができるような仕組みが必要なのかなというふうに思って、今でもこれは選択の自由があるわけでありますけれども、民間の医療保険をどのように組み合わせるかということが必要なんだろうと思います。
それからさらに、民間の医療保険に関しては、社会保険の運営をつかさどるということがあってもいいのではないか。例えば、アメリカのメディケア、メディケードの運営に関しては民間の保険会社が担っております。ですから、社会保険庁ではなくてそういうものも参入できるような仕組みにする。それから、保険者の機能というのが現在は法律で定められた活動をしているということにすぎないんですね。ですから、それを最終的には個別の契約まで持っていくかどうか分かりませんけれども、そういった保険者機能というものをもう一度患者さんと医療機関の間に入るエージェントとして考えるかどうかということによるんだろうと思います。
これは情報の非対称性というようなことというのは、医療は常にそれは言われますけれども、ほかの分野でも情報の非対称性はございます。それは、昨年でしたか、ノーベル経済学賞を取った人たち、レモンの原理とかスクリーニングとかシグナリングというようなものが正にそれに当たっておりまして、エージェントとしての、エージェンシーとしての機能をもう少し考えるべきであって、それから一対一の対応ではなくて、被保険者が選べる、あるいは保険者もこれは選べなければいけないのかもしれませんけれども、そういった選択の可能性を入れるということが大切なんだろうと思います。
○白浜一良君 今お話伺いましたけれども、本来保険というのはリスクに見合ったものだという、所得にかかわるものじゃないという、それはよく分かるんです。民間の保険はそうなっていますからこれはもう極めて分かりやすいんですが、公的な保険制度までそういうふうなものになれますか。
○参考人(河北博文君) それは非常に難しいというふうに思います。ちょっと話は離れますけれども、例えば税制においても源泉徴収制度というのがございますね。これがいいか悪いかという議論は、私はやっぱりすべきだろうというふうに思っているんです。それと同じように社会保険に関しても、国家が主宰をするというところにはやはり今のような仕組みしかあり得ないのかなというふうに思っております。
ただもう一つは、価格設定の問題があるんですね。価格設定というのは、現在例えば診療報酬体系の中で、先生方御存じでいらっしゃると思うんですけれども、私が以前、厚生省の老人保健審議会の委員をしていたときに、隣に日本医師会の常任理事吉田清彦先生という、非常に社会保険あるいは診療報酬制度に詳しい方がいらっしゃいました。その方に言われたのは、日本の診療報酬体系というものは医師が行う医療行為に対する費用弁済である。医師が行う医療行為に対する費用弁済ということはドクターフィーでしかないということなんですね。それをこの数十年間改定に改定を重ねてきた中で、このドクターフィーをいかにホスピタルフィーをカバーするようなものにしてしまったかということで、もう訳の分からないものになってしまっているんですね。
それから、一点十円というその仕組みがありますけれども、これも大きな経済変動があったときに一点十円を変えるかどうか、あるいは、例えば消費税を導入するときにこれをどうするかというようなことがほとんど議論されないままに一点十円で据え置かれています。例えば、現在、臨床研修制度の必修化あるいは診療情報の電子化、電子カルテというふうに言われていますけれども、そういうものを導入するということが私は非常に大切なことだろうと思っていますけれども、それをするために非常に大きなコストが掛かります。ところが、これをカバーできる今財源を見付けることが非常に難しい。そういうときには、例えば、これはまだ議論は必要ですけれども、一点十円を一点十一円、十二円にする、幅を持たせること。それは社会保険で出せなければ、患者さんの選択によって自己負担をお願いをする。ただ、これは三割負担との整合性を考えてということになりますけれども、そういった価格の自由化というものも私は必要なんではないか。
ただし、それはきちっと情報を発信をしなければそういうことはあり得ませんので、そういうことを含めてやはり診療報酬体系の見直しをするということが社会保険の中では必要になるだろうというふうに思います。
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
もう一点、この同心円ですね、同心円。当然広がっていく流れというのが、今の日本の社会構造から見ると自然にも広がっていきますね。ところが、その一番真ん中の社会保険という部分が財政的な意味もあってどうしても固く収縮するわけですね。そうすると広がらないという、そういう今現状にあると思うんですが、いわゆるこういう全体像の中での社会保険の一番中心部分のここが広がればもっと楽にずっと広がっていくと思うんですが、その役割というか、先生はどのようにお考えになっていますか。
○参考人(河北博文君) これは公費支出をどう考えるかだろうと思います。政府の国家予算の中での医療に関する公的支出というものがそれほど諸外国に比べて大きくはないというふうに私は考えておりますので、この公的な社会保険に関してはやはりその公費支出をもう少し高めてもいいのではないかというふうに私は考えます。
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
それから角瀬先生、私率直な感想を述べます。
意見をお伺いしていまして、ちょっと経済原理が違うなという感じがしたんです。確かに、弱者に対する配慮、これ極めて大事なことでございます。しかし、今日本の抱えている問題というのは産業の空洞化という問題があるわけですね。ですから、企業が成り立たなければ雇用も成り立たないわけでございまして、ですから、そういう全体的な視点でどう受け止めるかという、物をどう考えるかということが私は個人的に大事だと思っているわけでございまして、そういう意味で一点だけお伺いしますが、地方自治体、またそれぞれ地域で民間も含めてやっぱり過疎化したり停滞したりしているわけですね。それで何とか活性化しようということで、この特区法案にちなんでいろんなアイデアをそれぞれ地域から出してきているわけです。
そういう地域の意見というんですかね、そういうことも、この法案全体の趣旨から見て余り好ましくないというふうに先生はお考えなんでしょうか。この点だけをお伺いしたいと思います。
○参考人(角瀬保雄君) 御質問の地域の活性化は大変重要なことであります。今地域が過疎化したりして沈滞してしまっているのは、その責任はどこにあるのかというと、やはり、私最近聞いた話なんですが、上場会社の人は、うちの工場は一杯あるけれどもみんながらんどうになっちゃっている、つまり海外に出てしまっている、こういうことであったり、やはりその企業の活動原理といいますか、それは利潤というものによって動いていくということは否定できないわけであります。
そこら辺の歯止めをどうするかということで、いろんな方策を考える必要があるんですが、そういう中の一つとして例えば沖縄の特区と、そういったような個別のものについては私も否定いたしません。それが必要なところがあると、あるいは北海道であるとか、全国的に見ても著しい状況に置かれているところに対しては特別な手当てをする必要があるかと思いますが、そうじゃなくて、地域に対して特区をそれぞれ与えてお互いに競争させると、そういうやり方で果たしてうまくいくのかなという点、根本的な疑問があるわけです。
本来ならば、要するに市場経済であるわけですから、企業がみんな競争していたわけですよね、自由な競争をやっているわけです。ところが、それでうまくいかないと、それについては一定の誘導なり、規制なりがやっぱりなくてはならないと、こういうふうに考えるわけです。